【ネタバレあり】映画「ダウンサイズ」感想レビュー

洋画
(C)2018 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

SFものです。発想は単純ですが小さくなることで社会的に発生する論争・トレンドなどがリアルに描かれています。

個人的にはSFのポイントとして、「フィクションの部分」と「リアルな部分」の対比が物語に入り込めるかどうかを決定する部分になってくるので、そういう視点では面白い作品でした。

発想の勝利、テーマだけでみたくなるような作品ですので、感想を参考にしていただければと思います。

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あらすじ

ある科学者によって人間を小さくする技術が確立される。180センチの人間でも13センチほどになる技術だ。

小さくなった人間たち専用の街を作りそこに住むことは、庶民の貯蓄でも後生お金に不自由なく暮らせたり、大きな豪邸を買えたり、環境問題にも寄与する、ゴミも少なくて住む、といいことずくめになる。しかし一度小さくなると大きくなるのは不可能のため、ダウンサイズを決行するというのは一台決心が必要だった。

主人公のポール(マット・デイモン)は妻のオードリー(クリスチャン・ウィグ)と一軒家の購入を検討する過程で、お金の問題が解消するダウンサイズに興味を持つ。

その後二人で話し合い、ダウンサイズを決行する。ダウンサイズ処置を受けて麻酔から目を覚ましたポールは一緒に処置を受けたはずの妻の姿が見つからないことに気付く。問い合わせて連絡をとってみると、妻のオードリーは土壇場で怖気付き、ダウンサイズをキャンセルしたことを知る。妻に裏切られた形となったポールは、小さくなった世界で孤独な生活を送ることになる。。。

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登場人物

・ポール・サフラネック(マット・デイモン):物語の主人公。どこにでもいる平凡な男。一軒家購入でお金がネックになったため、ダウンサイズに興味を持つ。

・オードリー・サフラネック(クリスチャン・ウィグ):ポールの妻。ダウンサイズについてポールと意気投合したように見えていたが、心の中では家族や友人と離れることなどが引っ掛かり、ダウンサイズをドタキャンしてポールを裏切る。

・ノク・ラン・トラン(ホン・チャウ):ベトナム人の活動家。政府に捕らえられ、罰としてダウンサイズされた。小人の街の端のスラム街に住む。口調は傲慢だが貧しい人・体に不自由な人を救っている。清掃のバイトをしていたときにポールと出会う。

ダウンサイズのメリット・デメリット

この映画ではダウンサイズすることにより、様々なメリットがある、と語られる。

・同じ資産でも小人の街では82倍の価値がある。(もう働かなくてもいいかも)

・ゴミや排出ガスの問題なども縮小されるため、環境問題に寄与できる。

・人口増加における土地問題・食料問題が解決する。

などである。もちろんデメリットもあるようで、

・普通サイズの人間と交流がしにくくなる

・ダウンサイズ手術が100万人に1人くらいの確率で失敗する(死亡したり)

・預金で遊んで暮らせる人が多いため、経済活動をしない→税金をあまり払わない

などの問題もあるようで、実際に同じ額の年金をもらうことに不満をいっている酒場の客もいました。

映画の世界の中ではそれなりの議論があるようです。

貧困街

基本的には持っている資産が82倍もの価値になるダウンサイズですが、貧困街が存在します。主人公は金持ち隣人のパーティ後の清掃の仕事に来ていた元ベトナム人・ノクに協力する過程でその存在を知り、言われるがまま手伝うことになりました。

考えてみると、ダウンサイズで必要な生活物資や食料などの量は82分の1になるかもしれませんが、人件費などは変わらないし、自分が働いて稼ぐ量が82倍になるわけではありません。ですので十分な貯金がなくダウンサイズした人や訳ありの人は小人の世界でも貧困層になってしまうということです。

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SFとしての面白さ

本映画は「人間が小さくなる」というキャッチーなテーマがありますが、重要なのはテーマを受けての、全体のストーリーです。この映画では、

「小さくなった人間が実は騙されていて、最終的には大人間と対決する」や

「小さくなった体に不具合が生じてトラブル、なんとか普通サイズに戻る方法を見つけ出す」

といった分かりやすいストーリーではありません。小さくなった後の貧富の差や貧困層の暮らしを描写していたり、小さくなることが処刑罰として使われたりと世界の価値観が追いついていない様子がリアルに描写されており、そのリアルさがSFとしての面白さを支えています。

人間が小さくなれることで生ずるメリットと問題点を確かな説得力で描いているもので、映画「アントマン」のようなものだと思うと、期待外れになるでしょう。どちらかと言えば地味ですが堅実なSF映画になっています。

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終盤の世界観は「?」

この映画のラストシーン付近は少し雰囲気が違っています。実際、賛否両論あるようです。

北米に遠出した主人公御一行はダウンサイズの発明者アスビョルンセン博士に出会います。

そこで博士から言われたのは、世界の滅亡が近づいている、ということでした。それに対して北米のダウンサイズした人々はシェルターを作っており、そこに入り長い年月を過ごし、結果的に人類を存続させる準備を進めていました。

そのシェルターに入っての生活自体がダウンサイズしたから可能である、という理屈は分かりますが終盤で急にストーリーの路線変更がされたような気がして、正直、観ていて「?」となりました。

主人公がシェルターに入るか入らないかを選ぶ、というのが最後のテーマですが、その一大決心も感情がうまく入ってこないのは私だけではなかったはずです。2回ほど観れば変わるのかもしれないですが、「?』状態になってしまう人は多いと思いますのでそこだけは残念ポイントです。

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総合オススメ度

オススメ度としては普通レベル。傑作といえば褒めすぎかな、と思いますがSF好きには是非お勧めしたいですね。

まとめると

・割と硬派なSFでリアルで面白い

・コメディやアクション要素は無し(小さくなってアリと格闘、とかしません)

・終盤の物語の流れは賛否両論あり(ちょっと宗教な感じあり)

以上になります。

他にも映画の感想を中心にゆるりの記事を上げています。

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