【ネタバレあり】映画「ちょっと今から仕事やめてくる」感想・レビュー

邦画
(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会

あらすじ

印刷会社で働く青山隆(工藤阿須加)はブラック企業特有の部長からのパワハラ、厳しいノルマなどから耐えきれず、電車のホームに飛び込もうとする。飛び込む瞬間に隆を助けたのはたまたま居合わせた小学校同級生のヤマモト(福士蒼汰)だった。

偶然の再会ではあったが定期的に飲みに行くようになり、会社のストレスを発散できるようになる隆だが、山本には秘密があった。

(注意)以下、ネタバレを含みます。

キャスト

・青山隆(工藤阿須加):このストーリーの主人公。ブラック企業で働く若者で真面目だが部長にはポンコツ扱いされており、パワハラを受ける日々。電車のホームに飛び込む際に山本に助けられるが、その後も同じ会社に勤め続ける。

・ヤマモト(福士蒼汰):隆の同級生、小学生3年の頃に大阪へ引っ越したため隆とは久しぶりの再会となる。職業などは不詳で、関西弁で明るい。アロハシャツをよく着ている。東京出身の俳優さんのせいか、関西弁に違和感を感じるかも。

・五十嵐さん(黒木華):隆の会社の先輩で部署のエース。部長から期待されているが、同様にプレッシャーをかけられてもいる。隆のPCをこっそり操作し、仕事ミスをさせて自分の手柄を増やすなどの腹黒さがあるが、企業体質がそうさせたもので根っからの悪ではない、多分。

・部長(吉田鋼太郎):隆の会社の上司。ブラック企業に相応しいパワハラ部長。隆を土下座させたり、物を蹴ったりする。物語終盤、隆が会社を辞める際に、いつも通り説教するがいつものように狼狽えずにあっけらかんとしている隆に少し驚くが、今までのことを反省することはなかった。

・大場玲子(小池栄子):ヤマモトが育った孤児院の管理人。最後らへんに出てきて、ヤマモトの秘密の素性を語る役割がある。

(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会

全体の流れと感想

結論からいうと、隆が仕事をやめるのは物語の8割くらいの終盤です。

飲み友達になった隆とヤマモトだが、同級生からの情報で、ヤマモトが同級生でないことが判明する。同級生だと思っていた「山本」は別人でSNSで今NewYorkにいることが分かったからだ。

隆はヤマモトがだれか探るためインターネットで検索する。すると一つの記事にたどり着く。それは過労死自殺した食品メーカーの本人である、というもの。写真もヤマモトの顔に一致する。「つまりヤマモトは幽霊?」というふうに考えてしまう。この物語の(比較的分かりやすい)ミスリードである。

会社では唯一の味方だと思っていた五十嵐先輩にも愛想を尽かされ、とうとう居場所が無くなり、絶望してしまう。

このことが決め手となり、さらにメンタルがヤられてしまった隆は、会社の屋上から飛び降り自殺をしようとするがヤマモトに説得される。この時に今まで無下に扱ってきた田舎で暮らす親の大切さを思い出した隆。田舎に1日だけ戻り、会社をやめることをどう思うか両親に聞く。元々リストラにあった過去がある父親と、共にそれを乗り越えた母親は「会社は1つだけじゃないし、いいんじゃない?」と隆が思っていたより肯定的で軽い返事をしてくれる。このことが決めてとなり、隆は会社をやめることが出来た。

その後ヤマモトと連絡が取れなくなるが山本純という名前でネット検索してたどり着いたブログにコメントし、ヤマモトが育った孤児院にたどり着き、大場玲子にヤマモトの秘密を教えてもらう。

山本の秘密:ヤマモトが名乗っていた山本純は過労死自殺した双子の弟の名前だった。子供時代に、孤児でも生き生きとしているバヌアツの子供たちの写真を見て影響を受け、現在はバヌアツの先生。

ヤマモトの秘密を知り、隆は玲子からバヌアツの子供たちの写真を見せられる。笑顔の子供たちが映った写真の裏には隆を誘う言葉が書かれていた。

物語ラストシーン、隆はバヌアツで先生をしているヤマモトを訪ねて新しい人生をスタートさせる。

(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会

ヤマモトの謎

ヤマモトは関西弁で根っからの明るさですが、最初少し物語から浮いている存在に見え詐欺師感がすごい。構図としては会社でメンタルをやられているが、ヤマモトとの飲みで少し救われる、という序盤なのだがヤマモトが怪しすぎてオールウェイズ周りに振り回されている人にも見えるというのが正直な感想。

途中、山本純という名前で検索してしまうことにより幽霊へのミスリードになるが、これはわりと分かりやすい演出で子供騙しのようにも見える。

(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会

ブラック企業で視野は狭くなる

「自殺するくらいなら会社を辞めれば良い」というのはその通りだが、現に仕事が苦で自殺する人というのはいる。

なぜかというと一概にはいえないが視野が狭くなっているのが一因だと思う。

本作の主人公 隆はまさにそのようになっており、月の残業時間が150時間ほどという描写もあったことから他に何も考える余裕がなかったのだと予想できる。この映画は視野が狭くなっているような人にこそお勧めできる。自分にとって大切な人や大切な時間のために人生を生きるということを第一に考え、第2・第3の人生をスタートする勇気を持つことを強く激励される映画だ。

(C)2017「ちょっと今から仕事やめてくる」製作委員会

バヌアツの自然

物語終盤で出てくるバヌアツ共和国の自然は綺麗で、見るだけで心が洗われるようだ。

ラストシーンでは海辺で満天の星空を見ながら「希望は見え無くなることはあっても、消えることはない」という言葉が出てきます。

星空は全世界中に広がっているけれども空気が澄んでいて、灯りが少なく、心に余裕がなければみることが出来ません。希望と星を重ね合わせている表現です。

© 1997- Pacific Islands Centre

終わりに

映画を見る余裕がない忙しい人にこそ観てほしい映画ですね。

テーマが分かりやすいタイトルなので内容に裏切られることはないとは思いますが、約2時間の内容としては少し退屈かもしれません。伏線やヤマモトの謎もありますが結構単純なので、90分くらいの映画にキュッとまとまっていた方が個人的には好みだったかなという感じです。

福士蒼汰さんは男から見ても目の保養になるなぁ、という感じですが関西弁の演技には賛否が分かれるでしょう。

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