【日本映画界の宝】岩井俊二監督作おすすめ3選

邦画
出典:https://eiga.com/person/17343/gallery/0626509/

岩井俊二とは

宮城県仙台市出身の映画監督・脚本家・音楽家・小説家です。

肩書きが多いな、と感じますがこれが彼の特徴でもあり、その素晴らしい多才感をもって映画の世界が作り上げられます。

今回は私も大好きな映画監督・岩井俊二のおすすめ映画を書いていこうと思います。

特徴①:映像美

岩井映画の特徴といえば映像美です。

具体的にいえば自然光を積極的に使ったシーンが多く、ストーリーに馴染んではいるのですがシーンを眺めるだけでも楽しめる作品も多いです。しかしこれは後述するリアルさとも絡み合っていて、美しい映像ばかりが並ぶのではなく、あくまでもリアルな描写に拘っている印象を受けます。映画によってはグロいシーンなどもあるため、好みは分かれるとは思いますが、今回は後述する見やすいおすすめ映画3選がありますので、まずはそれから観てみて下さい。

また人物を綺麗に撮るのもうまいと感じさせることが多く、特に蒼井優・広瀬すず・森七菜などの若手女優をより自然で魅力的に感じさせてくれます。

特徴②:音楽

映画を語る上で欠かせないのがシーンに登場する音楽です。

個人的には登場人物と同じぐらい重要だと思っているのですが、岩井俊二は音楽を自身で作曲したりするぐらいのこだわりを持っているようです。後述する「花とアリス」はピアノなどのクラシック調の音楽が多く使われており筆者も大好きなのですが、本人が音楽を担当しております。その他にも多くの映画で監督・脚本に加えて音楽を担当しています。多才。

特徴③:リアルさ

映像美とも絡む話なのですが、描写・表情一つ一つが並の映画とは一線を画すほどリアルです。

リアルということはそれだけ、綺麗で残酷で平凡で、と色々な表情を持つのですがそれだけ表情豊かな映画になります。

岩井映画は私が思うに「ダークな面が多い映画」と「綺麗な描写が多い映画」の二極化になっていると思いますが、実際にはそんなに単純ではありませんが。

ここからは実際に初めて観る方に岩井映画のおすすめを書いていこうと思います。

見やすいものをピックアップしました。結末ネタバレ等は書きませんがある程度のあらすじなどは書きますので、真っさらで見たい方はご注意ください。

おすすめ映画①:ラストレター

2020年1月17日公開

出演:松たか子、福山雅治、広瀬すず、森七菜、神木隆之介

あらすじ:亡くなった姉の同窓会の案内がきて、亡くなったことを伝えに行こうと思い出席する妹(松たか子)。しかし会では亡くなったと言える雰囲気ではなく、仕方なく姉のふりをして振る舞ってしまう。そうして再会を果たしたかつての初恋の先輩(福山雅治)と連絡先を交換し、連絡を取り合うようになるが、、、

出典:https://last-letter-movie.jp

比較的最近の映画で、私は森七菜という女優をこの映画で知りました。その後はDocomoのCMやドラマ「この恋あたためますか?」などで一躍人気女優になりましたね。本映画でも親戚の天真爛漫な女の子というキャラクターが自然でよくあっていたと思います。(演技していたの?というレベル)

物語の雰囲気としては44歳で亡くなってしまった姉、という暗い雰囲気ではあるのですが、その姉を追うかつての同級生(福山雅治)や周りの人物などのドラマはなんともいえない暖かい気持ちにさせる映画で、明るい雰囲気があります。

岩井俊二自身の出身地である宮城県が一部舞台になっており、ドローンを使った真上からの景観の撮影などで、過去作品とは違った技法を使いながらもお馴染みの映像美が見られます。

キャスティングも豪華ですが、いい意味で豪華さを感じさせない自然な雰囲気で物語が進みます。

ストーリーも複雑ではなく岩井映画の導入としても良いのではないでしょうか。この時代だからこそ文通の風情のあるやりとり、それを広瀬すず・森七菜演じる娘たちが経験するというのも微笑ましく、観やすい映画ですのでオススメです。

おすすめ映画②:スワロウテイル

1996年9月14日公開

出演:伊藤歩、Chara、三上博史、江口洋介、渡部篤郎、アンディ・ホイ

あらすじ:日本円が強い時代。円を稼ぎにくる外国人移民の住む「円都」、日本人に忌み嫌われる存在である「円盗」が住むこの貧困街に生まれ母を早くに亡くした少女(伊藤歩)は人身売買されそうになるがそれを見かねた売春婦のグリコ(Chara)に助けられる。その後知り合っていく人々を巻き込みながら成長していくストーリー。

(C)1996 SWALLOWTAIL PRODUCTION COMMITTEE

岩井映画の最高傑作だと思います(主観)。

暴力・薬物・貧困・売春などエグい描写やダークな部分も多い映画ですが、その中で見える喜びやユーモア美しい映像・音楽性・小気味良いストーリーはまさに観る人を中毒にさせる映画です。私も何回見たか覚えていません。定期的に観たくなるんですよね。

この映画の中ではグリコが歌を歌うシーンがあるのですが、これが実際に「YEN TOWN BAND」としてCDを発売しています。実際、映画中でも音楽が重要な要素となっています。

名もなき少女が「アゲハ」という名前をもらい、不器用ながらも人間として成長していく姿に心を打たれます。

他のおすすめ2つとは違い、暴力シーンなどあり、好みの分かれる映画かと思いますがハマれば人生のベスト映画ランク入りすること間違いなしです。

おすすめ映画③:花とアリス

2004年3月13日公開

主演:蒼井優、鈴木杏、郭智博

あらすじ:電車内で見かけた宮本(郭智博)を好きになってしまった花(鈴木杏)は高校入学後、宮本先輩の所属している落語研究会に入部する。放課後、花が宮本をストーキングしていると、普段からボーッとしている宮本は建物のシャッターに頭をぶつけて転んでしまう。すぐに宮本は意識を取り戻して大事には至らなかったが、そこに駆けつけた花は「私のこと覚えてますか?告白したんですよ?」と嘘をつき「先輩、記憶障害ですよ」という。この嘘を宮本は一旦信じてしまい、花の親友であるアリス(蒼井優)もその設定に付き合わされることになる。。。

(C)2004 Rockwell Eyes・H&A Project

あらすじは少しキャッチーな恋愛ものという感じで物語は実際、高校生の恋愛(三角関係)に終始します。スワロウテイルなどと比べると退屈なストーリーと感じる方もいるでしょう。

私は岩井映画の中でこの映画が一番好きですが、その理由はよく分かりません。

ここではお勧めする理由を言語化できません。あえていうなら「この世界の中に生きたい」と思わせてくれる世界、に魅力があります。

海町diary、かもめ食堂、などの映画の雰囲気な好きな方は特にお勧めです。

その他おすすめ作品

以上3作品、岩井俊二を知らない方におすすめの映画を紹介させていただきましたが、これによって「ファンになったかも」と思ったあなたには以下もお勧めです。

①:Vampire(ヴァンパイア)

珍しく、洋画の監督作品です。正式にいうと日・米・カナダ合同作品らしいです。

蒼井優以外は海外キャストで舞台も海外。岩井映画の美しさはそのままに、舞台が海外の景色となり、また人の血を飲むという変人主人公をテーマにしていますが、黒い描写は少なめです。

②:リリイ・シュシュのすべて

青少年の人間関係などを切り取った問題作。いじめ・強姦などの描写もあり、観るのが少し辛くなるかもしれませんが、必ず忘れられない映画となるでしょう。

実際、子供の頃にこれをみた私もなぜだかすごく印象的で、好きかどうかはともかく忘れらない映画になりました。

③:打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

2017年にアニメ映画化されたものの原作。アニメ版は主人公が中学生だが、原作では主人公が小学生の設定となっている。

アニメ映画とは雰囲気の違う作品になっており、岩井作品の原点に近いものを感じさせる。

④:リップヴァンウィンクルの花嫁

黒木華主演の長編映画(上映時間3時間)

人物描写の美しさが前面に出ており、この作品を見たら黒木華のファンになってしまう確率が高い(主観)

実際、この映画は岩井監督が黒木華をイメージして脚本から執筆して作り上げた作品とのこと。そういうこともあるんですね。

3時間の長丁場ですので、これを退屈だと感じてしまう方もいるかもしれないですが、ハマればかなりの名作だと感じる方もいるでしょう。私は後者です。

綾野剛の演技がわざとっぽくて「怪しい人の役だから役にあっている」という感想も抱けるし、「ただ単に不自然な演技なだけだ」という感想を持つ人もいるようです。いずれにしろ、物議を醸す演技というのをできる、という時点で俳優として秀でているような気がします。(主観)

この映画のBlu-ray限定版を通販で購入しましたが、レコードサイズのパッケージが届いてビックリ。通販だとサイズ感がわからなくて油断していました。

まとめ

岩井映画は好き嫌いが分かれるとよく言われますが、見ていないというのは確実に機会損失だと思います。

ウニが好き嫌い分かれるからって、一回も食べてることをしないのは損ですよね。

と、いうことで皆さんウニを食べたことのない人は食べてみましょう。

以上です。

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