Netflixにて視聴。
あらすじ
食品メーカーで理想的なキャリアを走る川原由加利(長澤まさみ)は研究医の恋人と5年間過ごしていた。ある日、恋人の小出桔平(高橋一生)がくも膜下出血に倒れたことがきっかけで、彼の経歴が詐称されていたものだと知る。騙されたショックと探求心から桔平の過去を探るべく探偵事務所に依頼して調査を開始するが、、、
監督:中江和仁
出演:長澤まさみ、高橋一生、DAIGO、川栄李奈、吉田鋼太郎
公開:2018年
評価(5点満点)
総合おすすめ度:☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
キャラクター :☆☆☆☆
音楽 :☆☆☆
再度見たい感 :☆☆☆
総合的な感想
※以下、ネタバレを含むため、未視聴の方はご注意ください。
面白い映画でした。ミステリー超の雰囲気もありますがドラマとしての面も持っています。キャラクターは個性が立っていますが派手すぎず、ストーリーに説得力を持たせています。最後も救われる結果となっており、重いストーリーが苦手な方でも楽しめると思います。

キャラクター
ストーカー、探偵、キャリアウーマン、謎の過去を持つ男、ロン毛のDAIGO探偵と個性的なキャラクターが出てきますが、決してコミカルになるわけではなく、自然に物語は進みます。
個人的にはベテラン俳優の吉田鋼太郎さんはさすがといった感じで、なんとなく経験がありそうだけど微妙に頼りがいがない探偵を見事に表現しています。おっさんずラブの印象があるためか、少しコミカルに感じてしまうこともありましたが、この映画の名脇役といっていいと思います。ラストシーンでも娘との復縁を果たして、ハッピーエンド感を増してくれている憎めないキャラクターです。
知っている、ということ
本作では全編を通して桔平の過去を尋ねる物語です。経歴や名前まで嘘であることが分かった桔平ですが、由加利が一貫して探していたのは愛も嘘であるのかどうなのか、ということでした。これは恋人同士の話ですが、私たちも知っていると思っている人のすべての何割を知っているでしょうか。100%知っている人なんて、夫婦でも親友でもありえないことだというのが、暗に示されているように思います。しかし100%知らなくても人は人を思いやることが出来るということも、いえると思いますし、知ろうとする、ということもまた愛の一部なのかもしれません。
瀬戸内を尋ねる
ストーカーから聞き出した情報から、桔平が書いていた小説が見つかります。これを読んでいくと瀬戸内での記憶が綴られており由加利は関東から瀬戸内を尋ねる決意をします。
瀬戸内の島などで小説にあった灯台などを片っ端から尋ねるシーンが続きますが、ここで印象的なのはあまり瀬戸内の景色などを強調せず、美化されていないことです。個人的にはしまなみ海道などの景色は素晴らしいことを知っていますし、映画としては映えポイントかな、とも思うのですが、それをしなかったのは偶然か必然かどちらでしょうか。もしかすると地道な聞き込み、疲労感などの雰囲気とのギャップを出さないようにしたのかもしれないです。
聞き込みをするときの地元の人の感じも親切すぎず、超自然という感じです。個人的には、初対面のひとだったらまあこんな感じのリアクションだよね、とリアルに感じました。たまにある、田舎=親切な人、という描写もやりすぎは考えものですよね。

明らかになる過去
物語終盤で桔平の過去が妻子の無理心中であることの事実、住んでいた家を突き止めます。そして小説が過去にとらわれたものではなく由加利との未来を夢見て綴られていたことに気づき、由加利は救われます。そして由加利自身も今を意識したのか、すっ飛んで入院している桔平のもとに帰ります。
嘘を愛する女、という不穏なタイトルでしたが桔平も最後は目を覚まして、結果はハッピーエンドになりました。そして何より探偵の海原匠も娘との仲直りをして、ほっこりエンディングです。
おわりに
小説が発見されたときに太宰治や芥川龍之介を引き合いに出されますが、これは2者とも自死しているという伏線だったのでしょうか。いずれにしても桔平本人は自殺などしていなかったのですが。
人と人との付き合いのなかで100%の理解なんでものは無い。だからこそ付き合ってられるのかもしれないと考えさせられました。実の娘と血がつながっている確率でさえ99.99%なのですから。
以上になります。
こんな感じで、映画を中心にゆるい感想を載せていっていますので「参考になった」「感想を共有できた」という方は是非ほかのレビューも観ていって下さい。
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