【ネタバレあり】映画「空に住む」感想・レビュー

邦画
©️2020 HIGH BROW CINEMA

Amazon Prime Videoにて視聴。

あらすじ

交通事故で両親を亡くした小早川直実(多部未華子)は四十九日が終わった後、叔父叔母の計らいで都心のタワーマンションに住まわせてもうらう。飼い猫のハルと引っ越してきた直実は同じマンションに住む叔父叔母とも頻繁に食事をしたりして、充実した日々を送る。新たな環境で、同マンションに住んでいる人気俳優の時戸森則(岩田剛典)と知り合い、関係を持っていくが。。。

監督:青山真治

原作(小説):小竹正人

出演:多部未華子、岩田剛典、岸井ゆきの、美村里江、鶴見辰吾

公開:2020年

評価 ※以下、ネタバレを含むため、未視聴の方はご注意ください。

©️2020 HIGH BROW CINEMA

ストーリー

評価 :4/10。

恋愛ものかと思いきや、意外にそうでもないストーリーです。主人公の直美が両親の死を乗り越えていく物語と言えるでしょうか。なんとなく連続ドラマっぽく観やすい雰囲気があって、小難しい映画の雰囲気はないです。すっきりと観やすいストーリーの一方で最終的に何を伝えたかったかが少し分からないなあ、と思ってしまいました。

キャラクター

評価 :7/10。

登場人物は多くなく、仕事場の仲間、叔父叔母、マンションのコンシェルジュのおじさん、そして女ったらしの人気俳優で構成されています。

仕事場の仲間:小規模の編集社で個性的で渋い面々です。仕事での葛藤や細かい描写はありませんので、「っぽい」人たちが揃っているなーといった印象です。とても自然な世界観を感じ、「こんな仕事場もありかなー」と考えてしまいますね。

叔父叔母:典型的な世話焼き叔母を筆頭に幸せそうな熟年夫婦です。平和ボケした叔父と頻繁に食べ物のお裾分けを持ってくる(勝手に家に入ってくる)叔母ですが、物語の中盤ではさすがに直実にキレられてます。最後にはいい距離感を保っている感じに描写されています。もちろん悪気があるような人々ではなく、子供がいない夫婦だからこそ、娘のように接してしまったんでしょうね。そもそも高級マンション貸してくれてる時点でかなり太っ腹です。私もこんな親戚欲しい。(近くに住むのはNGですが)

マンションのコンシェルジュ:マンションには管理人さんがいるところも多いと思いますが、高級マンションにはコンシェルジュがいます。ゴミ捨て場とかで直実とお話しして、物語・疲れた直実の心の箸休め的なポジションになっていますね。

人気俳優の時戸森則:女ったらしの俳優として描かれますが、結構リアルですね。よくある女ったらしは映画ではわざとらしく描写されますが、本物語ではあまりチャラチャラしていないキャラ・女遊びを知人から聞く、っていうあたりが本物の女ったらしエピソードっぽいな、と感じます。演じる岩田さんですがあまり表情豊かではないですね。。そういう役だから、なのかはわかりませんが別映画「植物図鑑」でも同じような印象を受けました。

音楽

評価 :3/10。

あまり印象に残りませんでしたが、エンディング間際で「三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE」の曲が流れてきて、中々興醒めでした。これは曲が良い・良くないという話ではなくて、松潤主演のドラマの主題歌が嵐、というのと同じです。利権だなーってなっちゃう人は私だけではないと思います。

再度見たい感

評価 :3/10。

一度観れば十分理解できる内容です。伏線張って後半に回収みたいなことはありません。また個性的な世界観もなく「あの世界に戻りたいなー」という感覚も残念ながら抱きませんでした。

総合評価

評価 :4/10。

総合評価は4とさせて戴きました。お手軽に観られる映画ですね。多部未華子さん・岩田剛典さんのファンの方は必見だと思います。ファンの方にとっては魅力的なシーンがいっぱいです。

ピックアップ感想

タワマン

誰もが憧れるような渋谷のタワーマンションの39階に引っ越します。タイトルにもあるように窓から見える景色は、空に住んでいるような絶景です。観終わったあとにふと思ったのが「これタワマンに住む必要性あった?」ということです。物語には色んなところに必然性があると観ていてしっくりきますよね。今回でいうと人気俳優の森則と出会ったり同じマンションの2フロア上に住んでいる叔父叔母との関わり合いの発生がタワマンに住む状況への必然になると思いますが、それは高級マンションでなくてもできるのでは、と思ってしまいます。高級マンション・景色の良さがもっと物語に馴染んでいれば心地よくストーリーに馴染むと思ってしまいました。

仕事場

住むところが変わっても仕事場は変わらず、直実は毎日タワーマンションから郊外の仕事場に向かいます。普通の感覚ならこんな家賃の無駄遣いはないでしょう。仕事場には妊婦の後輩がいますが、これがなかなかの曲者で、俳優の森則が直実と同じマンションに住んでいることを職場の人に言ってしまうなど、デリカシーがなく視聴者のイライラを誘うシーンもありますね。直実は仕事場にはすごく馴染んでおり、後輩にもなんだかんだ尊敬されいることが後半に分かります。

小規模の編集社で、今時珍しく畳の部屋に机とPCなどを並べています。服装なども自由な雰囲気があり、こんな渋くて自由な職場は魅力的だな、と感じました。冷静に考えれば胡座をかくか正座で仕事するのは相当厳しいですが。。

恋愛

森則とマンションのエレベータで知り合ってから、「オムライスが食べたい、作れる?」という初めましてでは絶対にしないコミュニケーション方法をきっかけに二人は知り合い、深い関係になります。最初は、恋愛を主軸に進むのかなと思ったのですが終わってみるとそうでもないですね。なぜかと言うと、叔母が訪ねてきてしまったときに、森則が「なんか冷めた」といって部屋をあとにして恋愛表現それっきりだからです。その後、インタビューで再開しますが恋愛関係に戻るような描写はありません。

森則は最初「オムライスが食べたい」というが中盤に「卵嫌いなんだよね」との発言。序盤に「俺も親いない」というが終盤に「普通の親子関係だよ」という。嘘を平気でいうような人間です。

物語の中盤に直実は本当を嘘のように生きて、森則は嘘を本当のように演じる人、という表現があります。この対比が表すように、発言に矛盾がある森則が日常でも嘘を生きている部分があるのでしょう。いずれにしろクズ男ですが。

全体を通して

全体を通してEXILEありきの映画という感じで微妙でしたが俳優目当てでみるのはいいのではないでしょうか。個人的にはタワーマンションという若干の非日常をもっと活用して欲しいな、と感じました。

おわり

以上になります。

こんな感じで、映画を中心にゆるい感想を載せていっていますので「参考になった」「感想を共有できた」という方は是非ほかのレビューも観ていって下さい。

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