【ネタバレあり】映画「人間失格-太宰治と3人の女たち-」感想・レビュー

Netflixにて視聴。2021年3月現在、視聴人気ランキングに入っており、観てみることに。

あらすじ

天才作家・太宰治。身重の妻・美知子とふたりの子どもがいながら恋の噂が絶えず、自殺未遂を繰り返す。その破天荒な生き方で文壇から疎まれているが、ベストセラーを連発して時のスターとなっ
ていた。太宰は、作家志望の静子の文才に惚れこんで激しく愛し合い、同時に未亡人の富栄にも救いを求めていく。ふたりの愛人に子どもがほしいと言われるイカれた日々の中で、それでも夫の才能を
信じる美知子に叱咤され、遂に自分にしか書けない「人間に失格した男」の物語に取りかかるのだが…。

監督:蜷川実花

出演:小栗旬、宮沢りえ、沢尻エリカ、二階堂ふみ、成田凌、千葉雄大、瀬戸康史、高良健吾、藤原竜也

公開:2019年

評価(5点満点)

総合おすすめ度:☆☆

ストーリー  :☆

キャラクター :☆☆

音楽     :☆☆☆

再度見たい感 :☆☆

総合的な感想

※以下、ネタバレを含むため、未視聴の方はご注意ください。

写真家としても有名な蜷川監督の作品です。映画「ヘルタースケルター」ではスキャンダル後の沢尻エリカを起用したことでも話題になりましたね。視聴後、他サイトなどのレビューを見ましたが手厳しいものが多いようです。

映画に対しての個人的な考えは、傑作かどうかはエンドロールまで分からないが、駄作かどうかは直ぐに分かる、ということです。今回わたしも始まって30分ぐらいで、あまり好きではないと感じました。一方で好みという人もいるでしょう。いわゆる賛否両論的な映画だと思いますので無条件に観るのをやめることはお勧めしません。俳優も豪華になっているため、それ目的で観るのもよいでしょう。

時代とデザインの融合

本作の内容と切り離せない関係にあるのが蜷川節が効いたデザインです。蜷川監督は赤を効果的に使用する方としてイメージする人も多いのではないでしょうか。実際、今回もそうでした。昭和前半のレトロな町や服装に随所に赤がちりばめられており、子供の赤い服でさえも、印象的になるほどです。映画というのはドキュメンタリーである必要はないので、嘘のように美しい世界を描いてもよいのだとは思いますが、2時間にわたりそれを見せつけられるのだからかなりくどいです。しかし、これをたまらなく良く感じる人もいると思います。観てみてから好みかどうかをジャッジしましょう。最初の30分でくどいと感じたら、観ることをやめるのをお勧めします。その後の展開で何も変わらないからです。

3人の女たち

サブタイトルにもある3人の女たちですが、妻を宮沢りえ、2人の愛人を沢尻エリカ、二階堂ふみが演じます。その他出演の俳優陣も豪華で「見たことがある人がいっぱい出てくるな~」といった印象を受けます。破滅的な恋愛は映画でもよく取り上げられるものですが、そこにはいつも、危険な香りがする魅力的な男が描かれているものです。しかし本作は、そういった描写はされておらず、ただの飲んだくれ作家がなぜか破滅的にモテる、といった表現の浅さを感じました。もちろん小栗旬の顔と作家というステータスは実際にはモテるのでしょうが。作中にもっと、作家ならではの雰囲気や言葉選びなどの魅力が描写されていればよかったと思うのでここに関しては残念です。

宮沢りえの演技は素晴らしく、今作で唯一といっても良いほど物語に馴染んでいたと思います。

赤と青

本作では所々にビビッドな色調が使われていますが、やはり印象的な色は赤でしょう。冒頭に出てくる彼岸花が一面に咲いているシーンでも一面赤色になっていて印象的でした。昭和の町の提灯の赤なども普段の映画とは違って、やけに鮮やかな赤になっています。詳しくは分かりませんが色調などを多少調整しているのでしょうか。

一方で時々出てくる青のシーン。印象的なのは紫陽花(アジサイ)ですね。太宰がたまに帰ってくる家、場所を象徴しているようです。太宰が創刊した同人誌に「青い花」というものがあり、これをモチーフにしたのでしょうか。

普通、こういった対比はもっとさりげなく入れるものですが、本作ではかなりガッツリと入っています。小学生でもわかるでしょう。そういった思い切りも魅力の一つではあるとも思いますが、辟易させる要因の一つでもあるでしょうね。

また太宰が一度死にかける雪道のシーンは白が多用されています。これは結局太宰が生涯を通じて赤にも青にも、つまり妻にも愛人にも心から染まることが出来なかったことを意味しているのかと思います。

結末

キャッチフレーズとして「死ぬほどの恋。ヤバすぎる実話」とあって、基本的には実話に忠実に作られているそうです。「斜陽」「人間失格」を著する時期の話ですので晩年(といっても38歳とかですが)の太宰を取り上げたものになっています。

結末も史実通りになっており、富栄と入水自死となります。直前のシーンでは太宰の覚悟がきまっていないような雰囲気が出ています。実際、当時は自殺ではなく心中として巻き込まれたなどの考えもあったようですが、その後遺書が発見されたとのことです。若いころに芥川龍之介が自殺したことも影響があるのかもしれませんが、理由は本人でないとわからないかもしれません。

おわりに

好みがわかれる映画だと思います。特に色彩に関しては蜷川節が効いています。節とはいっても鰹節のように万人受けはしないでしょう。

以上になります。

こんな感じで、映画を中心にゆるい感想を載せていっていますので「参考になった」「感想を共有できた」という方は是非ほかのレビューも観ていって下さい。

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