【ネタバレあり】映画「ヤクザと家族 The family」感想・レビュー

邦画
『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

Netflixにて視聴。綾野剛 主演の話題作です。

あらすじ

父親を薬物で亡くし、母親もいない山本賢治は悪友の悪友の細野(市原隼人)、大原(二ノ宮隆太郎)と不良な日々を送っていた。行きつけの焼肉屋で、ヤクザの親分をチンピラが襲う状況に居合わせ、助けるかたちになる。これをきっかけに賢治は柴咲組と関係を持っていくが、、、

監督:藤井道人

出演:綾野剛、舘ひろし、市原隼人、尾野真千子、北村有起哉

公開:2021年

評価 ※以下、ネタバレを含むため、未視聴の方はご注意ください。

ストーリー

評価 :7/10。

大きく3部構成になっており、「ヤクザに入る前」「ヤクザ時代」「服役後・14年後の時代」に分かれて描かれます。ヤクザもので少し痛々しい描写もありますが、暴力描写中心でなく人間ドラマを中心に描いています。派手さはないストーリーですがリアルで引き込まれます。

キャラクター

評価 :9/10。

登場人物はヤクザとその周り中心です。

親分は人情派、その周りの人は根っからのヤクザ、一緒に柴咲組に入った悪友など下手なキャラクター構成で派手さはないですが、味のある自然な演技です。綾野剛演じる主人公の賢治は、若者時代の無鉄砲さ、ヤクザ時代の危うさと怖さ、出所後の落ち着いて勢いのなくなった雰囲気がそれぞれの時代でうまく出ており、流石の人気俳優だと感じさせられます。

音楽

評価 :7/10。

物語に音楽は頻繁には流れません。静寂がうまく使われていて、物語に不一致な場違いな音楽などは一切流れません。洗練された雰囲気です。公式HPなどには映画「新聞記者」のスタッフが再度集って制作された映画とありますが、音楽を担当された岩代太郎さんも「新聞記者」でサウンドトラックを担当されたようです。

エンディングで流れる主題歌は「KING GNU」のメンバーでもある常田大希を中心としたグループ「millennium parade」の楽曲「FAMILIA」です。音楽自体は好き嫌いそれぞれあると思いますが、個人的には映画の余韻を感じられる雰囲気があるいい曲だと思いました。

再度見たい感

評価 :7/10。

一度見れば内容は理解でき、伏線・終盤でのどんでん返しのようなものは特にないですが、映画の舞台、世界観が綺麗で、定期的に観たくなるような映画だと思います。この映画の素晴らしいと思うのは、内容はなかなかスリルのあるシーンが多いのですが、世界は自然で綺麗に描かれているところです。そういったバランス感覚が、結果的にトータルの映画が醸し出す雰囲気の軽さ・重さのバランスとなっているのだと思います。

総合評価

評価 :8/10。

総合評価は8とさせて戴きました。ヤクザ映画、と言う括りではなく、邦画を毛嫌いしている人でなければどなたにもお勧め出来ます。綾野剛・舘ひろしの演技も流石で、素朴な雰囲気ながらどこか特別感のある映画です。

(C)『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

ピックアップ感想

家族

本映画の副題「The Family」とあるように、家族が大きなテーマとなっています。

賢治は両親を亡くしており家族がいませんが柴咲組に誘われて、家族と言える存在ができます。この機会に家族というものを改めて調べてみました。家族の歴史上、役割・目的というのはいくつもありますが、お互いを守る、経済的に協調するという役割もあるようです。もちろん柴咲組は他の暴力団と同様にそのような側面もありますが、やはり精神的な支えや本当の家族同様の付き合い方、というので柴咲組を家族のように思えていたんだと感じます。

逆に家族がいなくて、定職についていないような精神的な支えのない状況ではこういった暴力団に心を許してしまうということにもなりますね。

実際には賢治が14年服役して出所した後に柴咲組に帰ってきますが、そこにはかつての繁栄はなく幹部数人と病気に冒された組長がいました。収入(シノギ)も法規制が強くなっており繁華街の飲食店などからの収入ではなく、違法漁や薬物関係になってしまっています。賢治はこの現状に落胆しますが、家族同様に思っていたので抜ける決心がつきません。

実際の家族も老いていったり、状況は変わりますよね。子供が産まれて家族が増えて喜ばしいこともありますが、どの家庭も親の老衰による介護の必要性や家庭事情や関係の悪化など様々だと思います。自分の家族も同様に状況が悪化していくのを想像して苦しく感じてしまうかもしれませんが、これも素朴でリアルな描写ならでは、想起されるものだと思います。

(C)『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

全体を通して

考えさせられる映画、というと安っぽい言い方ですがそういう映画です。暴力団は一般市民に直接関わることは少ないですので、漠然と悪い存在の象徴のようになっていますし、実際そうだと思うのですがこの映画のように視点を変えると、単純悪といていいのか、と考えてしまいますね。

綾野剛の演技が見事で、特に白髪混じりになった出所後の雰囲気はそこらへんのイケメン俳優には到底到達できない域にあると感じます。そこらへんのイケメン俳優というのは誰だよ、というのは割愛しますが。

地味といえば地味ですが、飽きずにみられるストーリー構成にもなっているので「ヤクザもの」とレッテルを貼らずに観てみることをお勧めします。とはいっても暴力描写は普通に出てきますので、苦手な方は注意して下さい。

おわり

以上になります。

こんな感じで、映画を中心にゆるい感想を載せていっていますので「参考になった」「感想を共有できた」という方は是非ほかのレビューも観ていって下さい。

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