Netflixにて視聴。
あらすじ
進学校に特待奨学生として転入した天才的頭脳を持つ少女リン。新しい学校で天真爛漫なグレースと友達になるが、テスト中、問題を解けない彼女を見兼ねて答えを教えてしまった。その噂を聞きつけたグレースの彼氏は、カンニングで金を稼ぐことを持ちかけてくる。リンの元には瞬く間に学生たちが殺到、多くの生徒を高得点に導き、クラスメートから賞賛され報酬を手にする。やがて、リンはカンニングチームを組み、ビジネスの集大成としてアメリカの大学に留学するため世界各国で行われる大学統一入試<STIC>を舞台に、最後で最大のトリックを仕掛けようとするが…。
監督:ナタウット・プーンピリヤ
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン
チャーノン・サンティナトーンクン
イッサヤー・ホースワン
公開:2018年
評価(5点満点)
総合おすすめ度:☆☆
ストーリー :☆☆
キャラクター :☆☆
音楽 :☆☆
再度見たい感 :☆☆
総合的な感想
※以下、ネタバレを含むため、未視聴の方はご注意ください。
カンニングを題材にしたタイ映画。二人の秀才がカンニングをビジネスにしていくストーリーです。映画のキャッチフレーズには
「まとめて合格、請け負います」
とあり、そのフレーズ通り多くの人に回答情報を与えてお金をもらい、まとめるとかなりの額になる、というビジネスモデルです。
バッド・ジーニアス~危険な天才たち~という副題がついていますが観た感想としては天才ではなく秀才、といった印象を受けました。もちろん勉強に関しては天才的なのだと思いますが、天才というのならカンニングビジネスでの不正方法などでも、もう少しカリスマ性をみせて欲しかったですね。
各評価サイトなどでは5点満点中4点くらいの高評価をしている方やレビューが目立ちましたが、私としては少し退屈な映画となりました。
カンニングのハラハラ感
本作の見どころといえば何といってもカンニングシーンのハラハラ感でしょう。最初はスタンダードな消しゴムに答え書く作戦。次は指のリズム、最後は鉛筆にバーコード印刷と色々なカンニング方法で最終的にはアメリカの大学統一試験であるSTICでカンニング作戦を実行します。
カンニングシーンはコミカルではなくシリアスに描かれており、観る人をハラハラさせるような音楽が流れます。個人的にはこの音楽がわざとらしく聴こえ、「ああ、ここでハラハラして欲しいのね~」と少し冷めてしまいました。こればかりは好みだと思いますが、映画の中で音楽を効果的に使うというのはやりすぎると諸刃の剣になるということですね。
天才という描写
本作では二人の天才が出てきて、最終的には協力してカンニングビジネスをします。こういった映画ではたいてい序盤に、いかに天才であるかを見せつけるシーンというのが存在します。小学生なのに先生の数式の間違いを正したり、大学生が解けない問題を子供が解いたり、などです。こういったわかりやすい「天才ですよ~」というシーンは個人的には好きなのですが、本作では「成績が小学校からオールAです」みたいなことが言われるだけで描写としてはあっさりとしていましたね。その学校では賢いのは分かったんですが、世間からも逸脱しているのかどうかは分かりませんでした。
格差
本作の構図は金持ちだけどバカ、貧乏だけど秀才、という2極になっています。カンニングビジネスが生まれるのも当然ですね。
調べたところによると、タイの貧富格差の状況としては指標では韓国・日本とあまり変わらないようです。つまりタイの中でもお金持ちの集まる私立高校みたいなところが舞台の設定になっているんでしょう。
物語が進むとお金持ちの友人と知り合い、カンニングビジネスが出来上がっていくわけですが、主人公にお金を払ってカンニングをする側の生徒たちがどうしても好きになれなかったですね。月並みですがお金にものを言わせて楽をする人が最後まで裁かれない、というストーリーになっているので観終わった後もモヤモヤが残ります。実際には最後は主人公が告白をしていますのでカンニングにかかわった人は試験の無効処分を受けているのでしょうが、私のように描写がないとモヤモヤする人、いらっしゃるのではないかと思います。
音楽と映画
音楽というのは映画の物語をより一層引き立てる効果もありますし、逆に台無しにしてしまうこともあります。
本作ではカンニングのシーンでハラハラするような音楽が流れますが、私はわざとらしく感じてしまいました。これは見る人によってさまざまだと思います。またクラシック音楽も多用されておりもう一人の天才・バンクはテスト前に必ず聴いています。ピアノからヒントを得て指の動きをカンニングの合図にしたり、最後はSTIC試験の答えを暗記するためにピアノの動きに当てはめて覚えるという技を編み出します。
ゆるくピアノが伏線的にでてくるところは面白かったですが、物語の全体通して音楽の統一感がなかったのが個人的にはマイナスでした。もちろんモーツァルトの音楽自体は言うまでもなく素晴らしいですが。
おわりに
全体的にハラハラするシーンが多いですが、それを乗り切った結果として、イヤな金持ちたちが喜ぶ(主人公にも金がはいる)という構図が微妙で主人公を応援する心境にはならず、惜しい映画と思います。
以上になります。
こんな感じで、映画を中心にゆるい感想を載せていっていますので「参考になった」「感想を共有できた」という方は是非ほかのレビューも観ていって下さい。
コメント